健全な『野心のすすめ』

今更ですが、かなり売れたらしい『野心のすすめ』を読んでみました。

野心のすすめ (講談社現代新書)

野心のすすめ (講談社現代新書)

前々から気にはなっていたものの、何故か「売れた!」と言われると敬遠してしまっていました。 ところが、ポッドキャストの「ラジオ版学問のススメ」や、テレビ番組の「久米書店」などで林氏が話ているのを見て、やっぱり面白そうだなーと。

健全な野心を持って、価値ある人間になろう

対象読者

基本は女性向けに書かれているみたいですが、男性が読んでも面白かったです。 性別問わず、もっと価値のある人間になりたい、というアナタは読んでみるべき。

野心とはなにか

タイトルにもなっている野心。 野心というと、何か黒いもの、ネガティブなものというイメージがありますが、本書の野心はポジティブなものです。

私が本書で提唱したい「野心」も同じく、「もっと価値ある人間になりたい」と願う、とても健全で真っ当な心のことです。 (p5)

基本的に真っ当なものである野心ですが、当初のイメージどおり「ネガティブなもの」になってしまうケースもあります。 それは、努力を伴っていない野心、所謂「口だけ」になっているような状態です。

林氏はこの「努力」と「野心」の関係を、車に例えています。これはわかりやすかったです。

自分が何も努力せずに、誰かが引き上げてくれるなんていうことはありえないのです。

一流の、業界でも力を持つ人に食い込んで行くことも実力のうちですが、まずは食い込むための実力を自分がどんな形であれ発揮しなければなりません。(中略)

野心が車の「前輪」だとすると、努力は「後輪」です。

前輪と後輪のどちらかだけでは車は進んで行けません。野心と努力、両方のバランスがうまく取れて進んでいるときこそ、健全な野心といえるのです。(p31)

本書では、著者の林氏が「口だけ」の野心だった時代から、スイッチが入って努力を伴う健全な野心へと変わっていく時の話も書かれています。林真理子自伝といってもいいかもしれません。

似たような、「絶対に一花咲かせてやるぞ」という野心を持っていた有名人のストーリーは、齋藤孝氏の『くすぶる力』でも読むことができます。

くすぶる力

くすぶる力

『野心のすすめ』を読みながら思い出したのは、『くすぶる力』に出てきた、安住紳一郎氏のエピソードでした。

TBSの人気アナウンサー安住紳一郎さんはテレビ画面で見るとおっとりした印象ですが、私は学生時代の彼を知っています。彼もまたブスブス煙が出ている感じの青年でした。そのくすぶりが今の彼のとんでもないエネルギーになっているように私には見えます。  安住アナが入社して初めての給料で買い込んだのはテレビ。自宅にいくつも並べて全局視聴できるようにしたというのです。  ここまで徹底できるのは、向上心と言えば向上心ですが、そのレベルを超えて、怨念にも似た情念を感じます

これぞ、努力と野心が前輪と後輪としてフル回転している状態だと思います。

若いうちに空転しておくのが良い、と感じた

努力を伴わない野心はダメだ、という意見には全く異論はありません。 ありませんが、最初から努力と野心とを備えている人はどのくらいいるんだろう、とは思います。

おそらく最初から野心が健全な人は少なくて、最初は口だけだったり気持ちだけだったりするのではないでしょうか。 そこから、何かのきっかけでスイッチが入って努力が始まる→健全な野心になる、という順番を踏むのが多数派かもしれない。「後輪固定して前輪だけが空回りしているような」状態が実は誰しも通る道なのかもしれない。そう感じました。

とはいえ、40代50代になってから口だけの野心家だと、ただの残念な大人です。 若いうち、「青いな」で済ませてもらえるうちに、通過儀礼としての「口だけの野心家」になるのもアリだと思います。 いずれスイッチが入るだけのアンテナは張っておきつつ、という条件付きで。

まとめ:野心をもってくすぶろう

早いうちから”何者”かになろうという野心を持ち、努力を重ねているに越したことはないわけです。

本書で気に入ったフレーズです。

20代だったらまだ、大丈夫。と自分に言い聞かせて、今からでも、もっと価値のある"何者"かになるための努力をするつもりです。