「好き」で「食う」土台を作る『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』山口揚平

そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか

そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか

  • 作者: 山口揚平
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2013/01/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今の会社に満足している人ほど読もう

今、自分から会社を辞めようと思っていない人。むしろ居心地がいい、ずっといたいという人。

そういう人こそ、この本を読もう。

まずはお決まりの「社会はこのままだと崩壊する」論

『自由な人生のために20代でやっておくべきこと』のレビューと導入は似ている。

大学を出て会社に入って昇進して務め上げて余生をゆっくり。

こういった「レール」はもうなくなりつつある。

筆者は、

とにかく盲目的に社会のレールに載るのではなく、まずは勇気を出して立ち止まり、自由を手にすべくあがいてみてほしいのです。

と書いている。

さて、今の会社にずっといたいという方、その会社が未来永劫成長を続けて、働きやすい会社であるという保証がどこにあるだろうか。突然レールがはずれたとき、あなたはどうするのか。

「好き」で「食う」ために必要なのは「知識」と「勇気」

「好き」で「食って」初めて、我々は自由な生を手に入れる。

ところが、我々=若い世代には好きなことをして生きていくという主体的選択をする知識と勇気が欠けている。

本書が教えてくれるのは、「好き」で「食う」を実現するための知識だ。

食うために必要なのは「スキル」ではないのか?

自分は、個人事業主やフリーランスで生きている人が「食って」いけるのは「スキルがあるから」だとずっと思っていた。スキルがあるから、他人に対して特別な価値が提供できるのだと思っていた。しかし、以前独立して事業をしている方お二人と肉をつつく機会に恵まれた際、この考えは間違いだと教わった。

本当に必要なのは食っていくための仕組みと信用だったのだ。

本書にもまさに同じ内容が書いてある。

さて、自分が好きなことで食べていくために重要なことは、実は「何か価値のあることができる」ということではありません。それは「好き」で「食う」ために必要な要素の一つに過ぎません。

この点をたいていの人は見誤っているのですが、特に独立して事業を始める歳には、「何かが出来る」こと、つまり、「バリュー」が一番大事だと考えがちです。バリューとは、あるスキルや商品の価値であり、これが売上や利益に直結すると考えられます。

でも、僕は「好き」なことで「食う」には、バリューの他にも2つの要素が必要だと思っています。

それは、「システム」と「クレジット」というものです。

システムとは、要するにお金が入ってくるためのモデルです。稼ぎの土台(プロフィットモデル)になります。

クレジットとは、個人や企業の信用のこと。例えば、独立すると信用はサラリーマン時代の1/10~1/20になると言われています。

このあと、本書のメインテーマである「稼ぎの土台」の作り方が具体的に解説されていく。

稼ぎの土台=プロフィットモデルの作り方

プロフィットモデルを考えてみよう

プロフィットモデルを作る上で、まずは自分で考えてみようということで、いくつかの例題が紹介されている。

そのうちの一つを挙げる。

東京・大手町の花屋で、ほとんど客が入っていないのに儲けているところがある。誰に売っているのか?

皆さんはどう考えるか。

普通に考えれば、お客さんが沢山きて、皆が花を買っていってくれれば花屋は儲かる。

しかし、この花屋にはほとんど客が入っていないという。

ここでの答えは法人契約

大手町の花屋ということで、企業の受付や株主総会で使う花を、企業と契約して販売していると考えられる。

稼ぐ土台として法人契約は大きい。一度契約すれば、契約が続く限りコンスタントな収入を得ることが出来る。

プロフィットモデル5つの領域

稼ぎの土台を考える上で、5つの領域が紹介されている。それは、顧客、商品、課金の仕方、支払い方法、資源

例えば、前述の大手町の花屋の「課金の仕方」は「ストック」=時間が経っても継続的にお金が入るというものだ

5つの領域それぞれには3つのパターンがある。課金の仕方の典型的なパターンは「スポット」、つまり「売れたときにお金が入る」というもの。このパターンは誰でも思いつくかわりに、稼ぐ土台としては弱い。

各領域では、このように「誰もが思いつくパターン」が1つずつある。このパターンは既に多くの人がビジネスを展開してしまっているため、稼ぐ土台を作ろうと思ったら、残りの2つのパターンを選択していくことが必要となる。

5つの領域の中にどのようなパターンがあるかは本書を参照してもらいたい。AKB48や進研ゼミ、ディズニーランドなどは、それぞれの領域でどのようなパターンで収益を得ているのかが表形式で解説されている。

これが非常にわかりやすい。もちろん、サラリーマンをしている今すぐ何かに役立つ知識ではないかもしれない。

しかし、自分の所属している会社はそれぞれどのパターンをとっているのか。経営陣はどのパターンを目指しているのか。こういった視点で見てみることも、いざレールが外れて自力で食っていくことになった際の「生きる筋力」を鍛えることにつながるだろう。

独り立ちへの3つのステップ

上記のモデルを考えて、稼ぐ土台が実現できそうだと思ったときすぐに起業するのは早計。

独立するまでには「潜伏時代」「独立時代」「起業時代」の3つの時代がある。

今25歳の私が当てはまる「潜伏時代」は、「丁稚奉公」の時代。

潜伏時代は社会に揉まれろ

この頃がどういうものかおおまかに言うと、「自分のミッションを悟り、心が疼きはじめる」時代です。

ミッションをどうやって見つけるのか?それは人によってやり方は違うでしょうが、僕が考えるに、前に言いましたが、だいたい30歳くらいまで真面目に目の前のことに真摯に取り組んでいると、どこからともなく降ってくるものです。

会社に不満があるといってすぐやめてしまうのではなく、まずキャリアの土台として揉まれてみよう。

これも、いくつものビジネス書や新書と共通する考え方。私が最近読んだ中では、前述の自由な人生のために20代でやっておくべきこと[キャリア編] (幻冬舎文庫)私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)あたりでも触れられている。(特に後者は齋藤孝氏と梅田望夫氏の対談で非常に面白いのでぜひ読んで欲しい)

社会に揉まれているうちに、自分のミッションを自覚することができ、独立から起業時代へと成長していく。

読み識視点

やりたいことがない、という人間への救いとなる書

意識が高い、エネルギッシュな人が多いように見受けられる昨今。(実際は声が大きいから多く見えるためとも思えるが)

やりたいことがない、というのはある種欠点のように思えてしまう場合がある。

本書でも「好き」で「食う」ための知識が書かれているわけだが、著者は

自分や自分の才能がわからないなら、本当にわずかなことでよいので、人の役に立つことをやってください。仕事でなくてもいいでしょう。お金が入らなくてもいいのです。貢献は信用を生み、それはいずれ自立と社会的評価へと変わるでしょう。

とも言っている。これは「やりたいこと」が明確にない私のような人間にとっては救いの一言となりえる。何もやりたいことがないときでも、劣等感を感じることなどない。そんなときには、「何か人の役にたつこと」をすれば良い。自分は何が好きなんだろう、と頭を悩ませるよりもずっとシンプルになる。

また、「30くらいまで真面目に目の前のことに真摯に取り組んでいれば、ミッションが降ってくる」というのも興味深い。ともすれば「主体性がない」なんて言われそうだが、目の前のことに注力する=選択をしなくて良い、というだけで、多くの人が楽になるだろう。

そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか

そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか

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